INTRODUCTION
イントロダクション
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017のゆうばりチョイス部門にてワールドプレミアを行い、第12回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門で上映された日仏合作映画『海の底からモナムール』が、遂に日本で公開!
ミユキの一件以降、10年間島に戻れなかった主人公・タクマ役に『貞子』『呪怨-ザ・ファイナル-』で日本2大ホラーに出演している桐山漣、タクマを一途に想い、17歳のままの姿のミユキ役に『青の帰り道』の清水くるみ。タクマの彼女・カオリ役で『欲動』の三津谷葉子、タクマとミユキの高校の同級生・マツ役で、au三太郎シリーズのCMの一寸役でお馴染みの前野朋哉、マツの彼女・トモヨ役で、釜山国際映画祭でAsia Star Awards 2014 最優秀新人監督賞を受賞するなど、女優のみならず、監督、プロデューサーとしても国際的に活躍する杉野希妃が出演。
本作は、エリック・ロメール監督作品の音楽を担当するなど、多岐に渡って活躍するフランスのロナン・ジル監督の長編2作目。溝口健二や増村保造の影響を受け、念願の日本で本作を撮影したジルは、オール日本人キャストで全編日本語ながら、日本の従来のホラー映画の幽霊とは違う、足があり、セーラー服を着ていて、性欲もある、オリジナリティ溢れるヒロインを描き、ホラーファンもロマンティクなフランス映画ファンも必見の一作となっている。
STORY
あらすじ
10年前、イジメに遭い、島の崖から飛び降りた女子高生・ミユキ(清水くるみ)は、「ただ愛されたい」という想いを抱き、17歳のままずっとこの瀬戸内海の浜にいる。 当時、ミユキが想いを寄せていたタクマ(桐山漣)は、同じく島出身のマツ(前野朋哉)に連れられ、それぞれの彼女・カオリ(三津谷葉子)とトモヨ(杉野希妃)と一緒に、卒業後初めて島に戻ることに。
その島では去年、かつて近所に住んでいた同級生のリカが溺れて死んでいた。「あの浜に行くな」と言う忠告を聞かず、浜でキャンプをする4人。夜、浜でミユキを見て、テントに駆け込むタクマ。海で泳いでいたカオリは、誰に足を引っ張られ、危うく溺れそうに。果たして4人は、無事に帰京できるのか…
STAFF
スタッフ
監督
DIRECTOR
ロナン・ジル
Ronan Girre
監督、作曲家。エリック・ロメールの『美しき冒険』(1982)、『レネットとミラベル 四つの冒険』(1987)などを含む映画・テレビ映画音楽を数多く手がける。その後、短編数作品、長編『VIRILITEE ET AUTRES SENTIMENTS MODERNES(原題)』(2000)等を監督。日本語を流暢に操り、本作は、日本にてオール日本人キャストで撮影された。また国際共同製作などのコンサルティングを始め、フランス、日本、韓国、中国で多数のプロジェクトに協力している。
撮影監督
CINEMATOGRAPHER
ドミニク・コラン
Dominique Colin
ルイ・リュミエール国立学校を卒業後、映画やドキュメンタリーの撮影監督として大陸や文化を超えて活躍。25年以上のキャリアを持ち、ギャスパー・ノエ、セドリック・クラピッシュ、アラン・ロブ=グリエ、マリナ・ドゥ・ヴァン、リア・サトゥーフ、アランテ・カヴァイテなどとのコラボレーションで知られている。
CAST
キャスト
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タクマ役
桐山漣1985年2月2日生まれ。神奈川県出身。
「仮面ライダーW」(09)でTVドラマ初主演。主な映画出演作に『呪怨-ザ・ファイナル-』(15)、『群青色の、とおり道』(15)、『カノン』(16)、『新宿スワンⅡ』(17)、『曇天に笑う』(18)、『貞子』(19)がある。近年はTVドラマ「俺のスカート、どこ行った?」(19)、「これは経費で落ちません!」(19)、「いいね!光源氏くん」(20)、「おじさんはカワイイものがお好き。」(20)に出演、映画、舞台など幅広く活躍している。 -
ミユキ役
清水くるみ1994年7月16日生まれ。愛知県出身。
2007年「アミューズ30周年全国オーディション」でグランプリを受賞。2012年に映画『桐島、部活やめるってよ』で注目を集め、『ジンクス!!!』にて映画初主演。主な出演作に、映画『orange』(15)、『青の帰り道』(18)、山戸結希企画・プロデュース映画『21世紀の女の子』(18)、『チア男子‼』(19)、『長いお別れ』(19)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20)などがある。 -
カオリ役
三津谷葉子1984年11月8日生まれ。埼玉県出身。
13歳でカネボウ「ナイーブ」CMへの出演を機に本格的な活動をスタートする。その後、グラビアなどで活躍したのち女優デビュー。映画『東京大学物語』(06)では映画初主演を果たした。主な出演作は、『愛の渦』(14)、『花宵道中』(14)、『欲動』(14)、『黒い乙女Q&A』(19)、ドラマ「ケータイ捜査官7」(08)、「ホリデイラブ」(18)など。 -
マツ役
前野朋哉1986年1月14日生まれ、岡山県出身。
2005年に『剥き出しにっぽん』(石井裕也監督)で映画デビュー。以降、俳優、映画監督として活躍。主な出演作に映画『桐島、部活やめるってよ』(12)、『イニシエーション・ラブ』(15)、『旅猫リポート』(18)、『魔法少年☆ワイルドバージン』(19)、『嘘八百 京町ロワイヤル』(20)がある。 -
トモヨ役
杉野希妃1984年3月12日生まれ。広島県出身。
2005年、韓国留学中に俳優デビューし、『絶対の愛』(06)に出演。2008年から映画制作にも乗り出し、プロデュース兼出演作は『歓待』(10)、『おだやかな日常』(12)、『ほとりの朔子』(13)他多数。監督作は『マンガ肉と僕』(14)、『欲動』(14)、『雪女』(16)。出演作『夏、至るころ』『ユキとの写真』『愛のまなざしを』が公開待機中。
TRAILER
予告編
予告編
特報
THEATER
劇場情報
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 |
---|---|---|---|
東京 | アップリンク吉祥寺 | 0422-66-5042 | 12月4日(金)〜17日(木) |
神奈川 | 横浜シネマ・ジャック&ベティ | 045-243-9800 | 6月19日(土)~25日(金) |
愛知 | 名古屋シネマスコーレ | 052-452-6036 | 3月20日(土)〜3月26日(金) |
愛知 | 刈谷日劇 | 0566-23-0624 | 3月26日(金)〜4月8日(木) |
大阪 | シネ・ヌーヴォ | 06-6582-1416 | 3月27日(土)〜4月2日(金) |
京都 | アップリンク京都 | 075-600-7890 | 7月31日(土)・ 8月2日(月)・8月4日(水) |
広島 | 横川シネマ | 082-231-1001 | 11月12日(金)〜18日(木) |
COMMENTS
コメント
順不同・敬称略
スタッフ・キャストコメント
タイトルを『海の底からモナムール』としたのは、本作の主な要素である「深い海」と「愛」の両方に言及したタイトルにしたかったからです。『モナムール』とカタカナにしたのは、私のフランス文化にも言及したかったからです。
瀬戸内海の海岸を訪れた時に、広島で撮影することにしました。瀬戸内海の海岸は夜、すごく特別な雰囲気があります。地元の方達が、それは、原爆の日に被爆し水に飛び込んだ方々の幽霊の存在だと言っていました。フランスでは幽霊の存在を感じることはありません。日本独特の存在なんです!
ロナン・ジル監督
私はそれまで日本に行ったことがなかったので、撮影で1番こだわったのは、日本のバイブを全く新しいフィーリングとして捉えるということです。日本に行くことは私にとって夢でした。そして、第一印象というものが大抵ベストで偽りのないものだと思います。日本のチームとは共通言語がなくてもうまくいき、お互いを良く理解できました。というのも、私たちは「映画」という同じ家族の一員だからです。
日本の俳優たちはプライベートでは感情をあらわにしないですが、演技をするとすごく情熱的で、大変感心しました。
ドミニク・コラン撮影監督
タクマは自分の思っていることを素直に表現できない控えめな性格です。ミユキの死を自分のせいでと引きずっているところを芯に持ちつつ、帰ってきた島で起こる出来事に素直に反応していこうと思い演じました。
ロナン・ジル監督の撮影では、ゆったり品よくスタートがかかり、ゆったりカットがかかります。日本の現場の気合いの入ったスタートに慣れているので初めは慣れなかったけど最後は慣れました。あと、大きな風船を使った夜の月明かりの照明が幻想的で画で観るととても綺麗です。
僕自身、あまりホラー感は意識せず撮影していました。幽霊が幽霊ではあるんだけど、日本のホラーみたく怖がらせるようなルックスでないところが、「これはホラーでもあるけど、幽霊の愛の物語でもあるんだな」と同時に感じさせられます。愛情表現や感覚的なものが日本人とはちがうので、そこに対するおもしろさがありました。
映画の中ではタクマが海に飛び込んでいくシーンがあるんですが、台風の直後で流木やらわかめやら流されてきた色んなものがごちゃごちゃあるし、夜になると苦手なフナムシやゴキブリがたくさんいて、、海や山でのシーンが大半だったので、自然の洗礼を受けながらの撮影期間でした!
タクマ役・桐山漣
わたしが演じたミユキは海で亡くなった女子高生の役なのですが、台本を読んだら、8割型水の中にいたり、片思いをしていたタクマの彼女の血をストローで吸ったりするシーンもあり、どんな撮影になるのかとドキドキしていました。このような発想や設定は日本人にはない考えであり、撮り方もフランス人監督ならではのやり方で、新しい経験をたくさんした現場だったなと思います。なんといっても、撮影は4年ぐらい前だったので笑
やっと世に放てるのだな、という気持ちです。日本人的価値観としては、一見するとホラー映画のようなのですが、登場人物の感情をちゃんと追ってみるとまた全然違った目線で楽しめる作品になっているかと思います。
ミユキ役・清水くるみ
カオリ役を演じるにあたり、漣君や前野君・希妃さんとのカップル4人でのシーンがほとんどだったので、仲の良い雰囲気を出しつつ、自然体なセリフの掛け合いができたらなと思い、空き時間にはよく4人でセリフの読み合わせをしたり、たくさんお喋りをしながら過ごすように意識しました。実際でも4人は同世代なので、とても楽しかったです。
ほかの人のホラーシーンがどんな風になっているのか全く分からなかったので、試写を観て、こんな風になっていたんだ!と思うところが多々ありました。前野くんのラスト(海に引きずり込まれるところ)をみて、私の知らないところで前野くんあんなに頑張っていたんだなぁと感心したり(笑)くるみちゃんあんなに水の中にもぐってたのね。などなど(笑)
ストローで血を吸われるシーンは台本を読んだ時点でも、とても印象的でした。
実際にそのシーンを観て、私自身はエロティックというような印象はないのですが…… 今までのホラー映画にはない、じっとりとした、独特な雰囲気のシーンになっていると思います。
フランス人のロナン監督だからこその発想や演出がたくさん散りばめられた作品になっていると思います。
今までにないホラー映画を是非お楽しみください。
カオリ役・三津谷葉子
ついに公開が決まりました!
映画をお客さんに届けられる事を大変嬉しく思います。
フランス人のロナン・ジル監督はとてもチャーミングな方で、笑った顔は赤ちゃんみたいです。
そんな監督がオール日本(広島)で撮影したホラー映画は「愛」の要素が強く、とても情熱的。
セリフ、所作、内容が本当に日本に馴染むのか、俳優は違和感なく演れるのかを監督は常に意識されていて、俳優陣とも愛と情熱をもってディスカッションし、国籍を越えみんなで作り上げました。
ジャパニーズホラーとフランスの情愛が入り混じった、これまでにない恋愛ホラー映画になってます。
是非劇場でご覧ください!
マツ役・前野朋哉
ロケ地となった宇品の海辺に、「広島にこんなところがあったんだ!」と広島出身の私も驚きました。まるで秘密基地のようで。船が行ったり来たり、普段はおだやかな瀬戸内海なのに、夜は少し不穏な空気を纏い、テントが波に飲み込まれそうになりながらも月明かりがとても綺麗で、ミステリアスでロマンティックな場所でもありました。
フランス映画らしい海辺のバカンス、叶わない恋慕、ロナン監督のいじめ問題に対するまなざしが交差して、フランス人監督ならではの恋愛ホラー映画になったのではないかと思います。本作が過去の悲劇によって傷を負った男女の魂の邂逅と言えるのならば、アラン・レネ監督の『ヒロシマ・モナムール』と重なるのも偶然ではないような...。
劇中で重要な小道具となっているスプーンストローは「フランスにはないものだし、これはポップでかわいいから使いたかったんだ!これから物語が膨らんだよ」とニコニコ力説していた監督の姿が目に焼き付いています。楽しそうにワカメまみれにさせられたり...遊び心が満載で、チャーミングなロナン監督の言動に笑いの絶えない現場でした。斬新なローリングラブシーンは必見です!
トモヨ役・杉野希妃
著名人コメント
仏監督のホラーは大抵スプラッタ全開だが、日本の怪談話に想を得たという本作は、繊細なJホラータッチだ。若手実力派、清水くるみのセーラー服幽霊が妖しくキュートで、桐山漣との長い愛の芝居に切なくドキドキさせられた。
鶴田法男
(映画監督/
『リング0』・TV「ほんとにあった怖い話」)
Fホラー(フレンチ)の意匠を纏いながらも、Jホラー(日本)なメンタルを晒したこの映画、結局はH(ハイブリッド)ホラーという珍品。ストローで鼻血を啜るという“吸血”行為にのけぞった。いや、ロナン・ジル監督が目指したのは究極の恋愛映画!? そうすると、これはちょっと捩れたMホラー/メロドラマホラーである。
塩田時敏
(映画評論家/
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭プログラマー)